THE HOUSE THAT JACK BUILT by Rirkrit Tiravanija
タイ人現代アーティスト、リクリット・ティラヴァーニャ(Rirkrit Tiravanija)の作品集。2026年3月から7月にかけてミラノの美術館「ピレリ・ハンガービコッカ(Pirelli HangarBicocca)」で開催された展覧会に伴い刊行された。本展は、空間的・建築的な実践をめぐる作者の30年にわたる探求を紹介する。
作者の空間的・建築的な実践に焦点を当てた本書は、書き下ろしのエッセイと対談を集め、作者と建築および美術との関係性を検証する。
主な寄稿として、キュレーターのフランチェスコ・ボナミ(Francesco Bonami)による、作者のキャリアをその出発点から辿るエッセイ、建築史家ビアトリス・コロミーナ(Beatriz Colomina)による作者の空間探求に関する論考、作品の根底にある建築的・理論的影響に迫る、建築家フリーダ・エスコベド(Frida Escobedo)との対話、そして本展のキュレーターであるルチア・アスペジ(Lucia Aspesi)とビセンテ・トドリ(Vicente Todolí)との本プロジェクトに深い洞察を与える対話が収録されている。
さらに、美術、音楽、建築、映画といった学際的な視点から執筆された、出品作品に関する詳細な解説を収録。展覧会の記録となる充実した写真図版のシークエンス、および出品作品の制作の背景にある建築的参照事項を辿る用語集によって、その内容に厚みが加えられている。
本展および書籍のタイトルは、反復と累積の構造をもつ、18世紀イギリスの有名な同名の童謡に由来する。タイトルから想像されるものとは異なり、この童謡は家やその建て主の物語を語るものではない。むしろ、家がその周囲の人々や物事と間接的につながり、関わり合う様子を描き出している。この童謡を想起させることで、作者は、自身の作品に通底するテーマである作者性(オーサーシップ)の問題との確かな結びつきを浮かび上がらせる。作者にとって建築とはプラットフォームであり、その価値は形態ではなく、使われ方やそこに住まう人々によって決まる。
本展では、作者の建築的作品をこれまでで最も大規模な形で紹介する。その多くは、シーグルド・レヴェレンツ(Sigurd Lewerentz)、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)、ルドルフ・M・シンドラー(Rudolf Michael Schindler)、フレデリック・キースラー(Frederick Kiesler)、ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé)、フィリップ・ジョンソン(Philip Johnson)など、モダニズムに連なる著名な建築家たちによる象徴的な建築に着想を得たものである。
これらの構造物を通して、作者はオーサーシップに関わるテーマを探求する。集団的な働きかけによって本来の機能を変え、まったく異なる文脈に置くことで、モダニズムの象徴的な建築を再解釈している。
それによって、使われ方、関係性、意味に新たな可能性が開かれる。展示空間全体に展開する映画のシークエンスのように、本展では、来場者が主人公となる場面が次々と現れる。多くのインスタレーションでは、素材のリストに「a lot of people(大勢の人々)」という言葉が記されている。作品に命を吹き込む役割を「大勢の人々」に委ねることは、中断や予期せぬ出来事を受け入れることを意味する。そこで起こることは、それまで存在していたものと一致しないかもしれない。したがって本展は、過去の象徴的な作品を祀る霊廟として意図されたものではない。むしろ、さまざまな存在や状況によって、そのたびごとに形が再び活性化される、能動的で参加型のフォーマットなのである。
装丁は、ニューヨークのデザインスタジオ「2x4」と、ミラノを拠点とするグラフィックデザイナーであるジョヴァンニ・スペラ(Giovanni Spera)が手がけている。
英語、スペイン語併記。
Published to accompany the retrospective dedicated to Rirkrit Tiravanija, which centers on his spatial and architectural practice, the catalog assembles newly commissioned essays and conversations that examine the artist’s relationship with architecture and art. Notable contributions include an essay by curator Francesco Bonami, offering an overview of Tiravanija’s career from its inception; a text by architectural historian Beatriz Colomina on the artist’s exploration of space; a conversation between Tiravanija and architect Frida Escobedo, delving into the architectural and theoretical influences underpinning his work; and a dialogue with the exhibition’s curators, Lucia Aspesi and Vicente Todolí, providing profound insights into the project at Pirelli HangarBicocca.
Furthermore, the volume features detailed entries on the exhibited works, authored from interdisciplinary perspectives encompassing art, music, architecture, and cinema. The publication is further enriched by an extensive photographic sequence documenting the exhibition, alongside a glossary that retraces the architectural references informing the creation of the artworks on display.