スイス人アーティスト、ダヴィッド・ヴァイス（David Weiss）の作品集。2012年にこの世を去った作者が手がけた作品の中でも知られたシリーズ「Neocolor」のドローイング作品を全て収録した一冊。2021年にバーゼルの「ヴァイス・フォーク・ギャラリー（Weiss Falk Gallery）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

ペーター・フィッシュリ（Peter Fischli）と作者は、1980年代からアーティストデュオ「フィッシュリ・ヴァイス（Fischli/Weiss）」、またはその分身である「ラット＆ベア（Rat and Bear）」として活動をしていた。その活動以前、作者は旅行をしながら、他のあらゆる活動や私的な出来事を鉛筆、色鉛筆、インクあるいはワックスオイル・パステル「ネオカラー（Neocolor）」で描いていた。1977年から1978年に描かれた「Neocolor」のドローイング作品は、多くの人が学校の授業で習ったことがあるような技法が用いられており、ある種その期間において作者の中で自己完結した作品群である。

本書が優れている点は、原画のドローイングが持つ「ネガ」的な特性を黒のページで再現し、作者が直感的にスクラッチすることで隠されたカラーのレイヤーが出現してモチーフが描かれるこのシリーズを巧みに表現していることであろう。

英語とドイツ語のテキストを収録。

This book reproduces all of the known ‘Neocolor’ drawings by the Swiss artist, who died in 2012.

Peter Fischli and David Weiss began working together in the 1980s as artist duo Fischli/Weiss, as well as their alter egos Rat and Bear.

Before that, parallel to travelling, David Weiss drew all other activities and non-activities with pencil, coloured pencil, ink and Neocolor wax pastels.

The ‘Neocolor’ drawings, for which Weiss used a technique that many will remember from school, form a self-contained group of works from the period between 1977 and 1978.

The success of this publication is in conveying the properties of black pages as negative drawings, whose motifs become visible through scratching away to the coloured layers underneath, in an intuitive way.

Published on the occasion of the exhibition at Weiss Falk Gallery, Basel, 2021.

English and German text.