オーストリア人アーティスト、アニタ・ヴィテク（Anita Witek）の作品集。本作は我々の習慣的なものの見方に焦点を当てている。作者は、写真という媒体を起点に、マスメディアから拡散されるイメージやテキストに対する我々の受け取り方とその真実、両面を考察する。

「Unforeseeable Occurrences」とは、作者が2020年に始めた写真作品のシリーズである。自然科学とテクノロジー、そして関連する話題に対する討論を主とした1980年代の大衆的な科学雑誌の一部を資料としている。未来世界の思索的なヴィジョンを中心に作者が選んだ歴史的課題は、パンデミックの最中に作者が制作したコラージュの中で、予測不可能な現在に直面することとなったのだ。孤立と不明確な真実の時代思潮をもとに、個人と共同体の間を揺れ動きながら、各作品は特異で抽象的な形を用いてこの瞬間を表している。

作者の始点は、科学とテクノロジーの課題と討論を主とする1980年代ドイツの大衆的な出版物「PM Magazine」のアーカイブである。そのレトロ・エディションには未来の世界について推測した、作り物のエセ科学と、やがて来たるものの鋭い描写の間を行き来する未来の想像図のシリーズが収められていた。数十年後に作者の手に渡ったページの中では事実と虚構の違いがぼやけており、その憶測の仕方は現代の情報が生成される様とあまり変わらないのだと、作者に感じさせた。

2022年から作者はシリーズの枠を広げ、カラーや、自身のスタジオの外の庭で撮影されたアナログ写真、様々なジャンルと時期にわたる新聞から広く選び出した切り抜きも組み込み始めた。本シリーズは、我々を取り巻く日常の捉え方における必然的なでたらめさとめぐり合わせについて、常に進行し続ける作業、習慣、あるいは瞑想となったのだ。

Anita Witek’s artistic work focuses on our habitual ways of seeing. Taking the medium of photography as her starting point, she examines both our perception and the truth content of images and texts disseminated via mass media.

Unforeseeable Occurrences is a series of photographic works that Witek began in 2020. The source material consists of fragments of popular science magazines from the 1980s, whose primary focus is on natural science and technology and debates on related topics. The historical issues selected by Witek centred on speculative visions of a future world, which encountered the unforeseeable present in the collages the artist made during the pandemic.

Anita Witek works with collage, photomontage, and photoplastics in interior and exterior spaces. She studied photography at the RCA in London and painting at the University of Applied Arts Vienna.

Joseph Constable studied at the RCA in London and was previously associate curator at London’s Serpentine Galleries. He is currently head of exhibitions at the De La Warr Pavilion, UK.