RICHARD NONAS. COLLECTED PRINTED MATTER 1971-2020 by Richard Nonas
アメリカ人アーティスト、リチャード・ノナス(Richard Nonas)の作品集。本書は、出版と密接な関わりを持つ現代アートのテーマや側面を掘り下げるシリーズ「Studies and Documents」の第1弾。イタリアの出版社「TONINI EDITORE」を主宰するブルーノ・トニーニ(Bruno Tonini)が編集を手掛ける。本書は、作者による138点のアーティスト・ブック、カタログ、ポスター、招待状(インビテーション)、エフェメラを収録した1冊。アメリカ人写真家であるヤン・マイスナー(Jan Meissner)によるエッセイも収録。
作者は、アメリカのポスト・ミニマリズムの主要人物の一人であり、場所、空間、時間の概念を考察する彫刻作品で知られる。人類学者として10年間、カナダ、米国アリゾナ州やメキシコなどでフィールドワークを行った作者は、1960年代半ばから彫刻の制作を開始した。この頃、ミニマル、抽象的、幾何学的なスタイルを確立し、この時期の作品では、ギャラリーの中央に設置されたり壁に立てかけられたりする彫刻に、拾った木や錆びた鉄が使用されることが多かった。作者は、同時代に活躍したアメリカ人アーティストのリチャード・セラ(Richard Serra)、ゴードン・マッタ・クラーク(Gordon Matta-Clark)、ヴィト・アコンチ(Vito Acconci)らと共に作品を発表した。
本書は、アーティストブック、ポスター、招待状(インビテーション)の本質を見事にとらえ、そのような印刷物と作者のアーティスティック・リサーチとを共生させてきたアーティストへのオマージュである。それは、作者の個人史に活力を与え、作者から離れることのなかった風景や人物の記憶が混ざりあった詩的な物語である。
“Richard Nonas. Collected printed matter 1971-2020” is a tribute to an artist who has superbly captured the essence of the artist’s book, the poster and the invitation as well, by integrating them as symbiotic components into his artistic research; that is, a poetic narrative contaminated by those memories of landscapes and figures that have animated his personal history and that have never left him.