アメリカ人フォトグラファー、ジェフリー・コンリー（Jeffrey Conley）の作品集。2023年7月から9月までフランス・ニースの写真美術館「Musée de la Photographie Charles Nègre」で開催された展覧会に伴い刊行された。本書及び展覧会は、30年における作者の写真とその人生の変遷を振り返る旅であり、出発点である。

アメリカにおける風景写真家の中でも重要な人物とされる作者は、アメリカをはじめ、アイスランド、ニュージーランド、スイスなどさまざまな場所で撮影を行なってきているが、場所を問わず崇高かつ詩的なその表現は、自然の美しさに常に敬意を表し、そのスピリチュアルな側面をあらわにする。作者の写真が持つ瞑想的とも言える作品の輝きは、自然に対して深く向き合った結果生まれたものである。この写真群は、直近の数年間、自然を探求し、観察して作られたものであり、作者の恐れ、驚き、そして地球に対する愛着が表現されている。

「ロチェスター工科大学（Rochester Institute of Technology, RIT）」で写真を専攻した作者は、カリフォルニアにおいて象徴的な存在である「ヨセミテ国立公園（Yosemite National Park）」内、シエラネバダ山脈の奥深くに建つ「アンセル・アダムス・ギャラリー（THE ANSEL ADAMS GALLERY）」で教鞭を取り、その技術を磨いた。幼少期をニューヨークのハドソン渓谷で過ごした作者は、やがてオレゴン州ウィラメット・バレーに在住。アメリカ西部のに茂る手付かずの大自然に魅了されていくにつれ、自然にどっぷりと浸かるために理想的な土地を求めて過ごすようになった。このような土地は、創造的なインスピレーションと安らぎを与え、作者にとって逃げ込む場所であり聖地となった。