フランス人アーティスト、ジェニファー・コーベ（Jennifer Caubet）の作品集。15年間で作者が制作してきた作品をまとめた一冊。専門家、エンジニア、建築家、企業との共同制作を経て、彫刻やインスタレーション、ドローイング制作や実践を通じ、空間について・空間において・そして空間の周辺について考察するようになった。作者が横断する空間で展開、再現、提示する形や線には、構築するだけでなく、構築されてきた関係の領域として、作品や展示の場を担わせている。

本書に収録されている作品では、印刷物からモニュメントのような構造物まで、公共空間においてもホワイトキューブでも、集めて組み立てたと思えばバラバラに分解し、ぎゅっと締めたと思えば拡張し、構築したと思えば脱構築し、その中であらゆる文脈に影響を及ぼしている。

スケッチの段階から展覧会、日々のスタジオでの制作や修作、技術の共有に至るまで、作者の実践を構成するさまざまな段階を通じ、長きにわたる制作活動を物語る一冊に仕上げられている。

美術批評家でありキュレーターのサラ・イーラー＝マイヤー（Sarah Ihler-Meyer）によるインタビューは、作品への導入的な役割となる洞察をもたらしており、美術史家であり翻訳家、キュレーターのアナベラ・トゥルノン・スビエタ（Annabela Tournon Zubieta）と、フランス・トゥールのアートセンター「オリヴィエ・ドゥブレ現代創作センター（Centre de Création Contemporaine Olivier Debré / CCC OD」のディレクターを務めるイザベル・ライアー （Isabelle Reiher）によるエッセイがその作品に対しエッセイを寄せて考察する。

あわせて、美術批評家でありキュレーターのペドロ・モライス（Pedro Morais）が、パリのギャラリー「ジョス・アントルプリーズ（Jousse Entreprise）」で2023年に開催された展覧会「Deux ou trois choses que je sais d’elle」において見せた作品の政治的な側面に光を当てる。

From printed objects to monumental structures, either in the public space or in the white cube, Jennifer Caubet’s pieces produce an effect on any context in which they assemble, disassemble, tighten and expand, construct and undertake to deconstruct.

This  book  recounts  the  artist’s  fifteen  years  of  production  through  the  various  stages  that  make up her practice, from sketches to exhibitions, day-to-day studio practice, and the sharing of skills.

An interview with Sarah Ihler-Meyer provides introductory insights into Caubet’s work, which is examined in essays by Annabela Tournon Zubieta and Isabelle Reiher. Finally, Pedro Morais illuminates the political dimension of the pieces presented in the 2023 exhibition Deux ou trois choses que je sais d’elle at Jousse Entreprise.